奈良県北葛城郡の内科・消化器内科・肝臓内科・糖尿病代謝内科『まみがおか内科』です。

便秘症、機能性消化管疾患

当院での便秘症、機能性消化管疾患の治療方針

1、便秘症

便秘症に関しては、70歳以下の方では女性中心に約4%の方がお持ちで、70歳を超えると男女共に約10%の方がお持ちになります。

便秘症の原因の多くは機能性便秘(腸管の運動能力が落ちていたり、直腸の便を排出する能力が落ちているために便が思うように出ない)でありますが、中に過敏性腸症候群(ストレスや環境不適応などが原因で腸管運動が不調になる)の便秘型も混じり、詳細な原因検索が困難な事が多いです。重要なのは、大腸癌や炎症性の腸疾患により大腸が狭窄し便秘に至る狭窄性便秘が一定の割合で存在する事です。このため、例えば今まで快便だったのに急に便秘が出現したような場合や、急に便が細くなったような場合では特に、大腸の検査を検討した方が良い場合がありますので、まずはお気軽にご相談ください。

便秘症(機能性便秘)の治療として、昔から非刺激性便秘薬(酸化マグネシウムのように、便を柔らかくする薬。腸管を刺激して動かす作用を持たない)と刺激性便秘薬(センノシドや大黄のように、腸管を直接刺激して動かし、便を出す)の2種類が使用されており、今も種類としては大きく変わりませんが、最近、新規の非刺激性便秘薬が次々と発売されており、これに伴って非刺激性便秘薬を軸に据えた便秘薬の組み立てが主流になってきております。また、生活習慣による便秘の増悪も無視できないレベルで存在しますので、下記診療方針に沿って指導させていただきます。

当院での便秘症の診療方針は以下のようになります。

① まずは問診にて便秘の状況を詳しく伺い、レントゲン撮影(場合によって超音波検査も)で狭窄性便秘の可能性を検討します。腫瘍などによる大腸狭窄の可能性が疑われる場合は、大腸内視鏡検査をお勧めする場合があります(他院での検査をご紹介いたします)。
② 治療開始時、生活習慣の以下のような部分をチェックし、適宜指導させていただきます。
・食物繊維の摂取量が不足していないか(18g/日摂取が望ましい)
・運動不足になっていないか(週5回以上、1回30−60分の、無理のない範囲での運動)
③ 薬物治療を開始していきます。原則として非刺激性便秘薬を中心にして、患者さんの便の硬さや性状を指標にして薬剤量を調整します。ストレスや心理的不安が背景に存在し、過敏性腸症候群の便秘型が疑われる場合は、まず当院でごく軽い抗不安薬や抗うつ薬の投与を行いますが、必要と判断した場合は心理学的な専門医を紹介いたします。
④ 薬物治療に反応が乏しい難治性の便秘症に関しては、直腸周囲の便を排出する機能が低下している場合がありますので、高度医療施設の専門外来を紹介させていただく場合があります。

2、機能性消化管疾患

機能性消化管疾患とは、内視鏡検査などで基質的な異常を認めないにも関わらず、お腹の症状(胸焼け、食後に胃の重い痛みや膨満感、胃もたれ、便秘、お臍周りや下腹部の腹痛)を認める疾患です。代表的な疾患として、機能性ディスペプシアと過敏性腸症候群に大きく分かれます。両者とも決して寿命を減らすような疾患ではありませんが、生活の質を大きく下げる事は間違い無いですので、積極的な診断、治療が望まれます。

2−1、機能性ディスペプシア

検査上、明らかな疾患が見つからないのに胃痛や胃もたれ、胃の膨満感が続く疾患です。以前はストレス性胃炎、慢性胃炎などと診断されていましたが、疾患の理解が進むとともにこのような名称となっています。疾患の頻度は意外に多く、健康診断受診者の約10%、胃の症状を訴えて来院される患者さんの半分以上がこの疾患であると言われています。

胃には、食べ物をためて(適応性弛緩)、十二指腸へ送り出す運動機能(胃排出能)という機能があります。これらの機能が様々な原因(ストレス、不規則な食生活、飲酒や喫煙)でバランスが失われるために発症すると考えられています。また胃酸や高脂肪食、過剰な香辛料、ピロリ菌感染、胃腸炎などの炎症によって、十二指腸や食道の知覚過敏や運動障害が悪化することも原因の一つといわれています。

症状は多岐に渡りますが、代表的なものは以下の2つです。

①食事するとすぐに膨満感が襲ってくる、食後に胃もたれや胃重感が強い(食後愁訴症候群)
②みぞおちの辺りの痛み、焼けるような感覚が時々生じる(心窩部痛症候群)

診断基準としては、RomeIVという基準が用いられています。

6ヶ月前から下記の症状を自覚することがあり、3ヶ月前以内に同様の症状が出ている。
検査にて上部消化管(食道、胃、十二指腸)に器質的疾患が無い事が確認されている。

  1. つらいと感じるみぞおちの痛み
  2. つらいと感じるみぞおちの灼熱感
  3. つらいと感じる食後のもたれ感
  4. つらいと感じる早期飽満感(すぐにお腹がいっぱいになる、胃が重くなる)

当院における機能性ディスペプシアの診療方針は以下の通りです。

機能性ディスペプシアの診断をする際、消化管に器質的疾患(癌や潰瘍など)が無い事を証明する必要がありますので、消化管の検査をまず行います。血液検査、レントゲン検査、超音波検査は当院で適宜施行いたします。内視鏡検査は連携する他院で施行できるようご紹介いたします。

②器質的疾患が否定され、機能性ディスペプシアと診断された場合、生活習慣の是正と薬物治療を並行して行なっていきます。また、内視鏡検査でピロリ菌の存在が疑われる場合、ピロリ菌の検査→除菌を優先的に行なっていきます。

生活習慣として機能性ディスペプシアの原因となりうるのは以下が代表的です。

  • 喫煙、飲酒、睡眠不足
  • 高脂肪食、香辛料やカフェインの摂取過剰

薬物療法は症状のタイプに沿って異なります。

  • 食後愁訴症候群が疑われる場合、胃腸機能を調整し、胃の中の食べ物の量をうまく調整できるように補助していきます。ストレスや心理的要因が強いと思われる場合は、まず当院でごく軽い抗不安薬や抗うつ薬の投与を行いますが、必要と判断した場合は心理学的な専門医を紹介いたします。
  • 心窩部痛症候群が疑われる場合、まず胃酸を抑える薬を処方し、症状の経過を見てまいります。症状の改善が乏しい場合、食後愁訴症候群に沿った治療に切り替えていく方針になります
2−2 過敏性腸症候群

ストレスや心理的問題を契機に起こる腸の疾患です。通勤・通学中に急におなかが痛くなってトイレに駆け込み、排便が終わると腹痛は消失するという経験を繰り返すのが代表的な症状です。心理的な問題の他に、直腸粘膜の過敏性や中枢神経の機能障害も一因として指摘されています。このことから、一定の身体的素因のある方が心理的素因をきっかけに発症すると言い換える事ができます。下痢が主症状となる方(下痢型)、便秘が主症状になる方(便秘型)に分かれます。こちらも、有病率が10%前後と比較的多い疾患といえます。

診断基準としては、機能性ディスペプシアと同様、RomeIV基準が用いられています。

6ヶ月前から腹痛を自覚することがあり、少なくとも3ヶ月前からは下記の症状に当てはまる。検査にて腸管に器質的疾患が無い事が確認されている。

月に4回以上腹痛が繰り返し起こり、

  1. 排便と症状が関連する(排便後に症状が楽になる、等)
  2. 排便の頻度が変化する(今まで毎日1回快便だったが、腹痛と並行して排便回数が増減した)
  3. 快調だった頃と比べて便が柔らかくなる(下痢になる)、もしくは硬くなった

当院における過敏性腸症候群の診療方針は以下の通りです。

①機能性ディスペプシアの診断をする際、大腸に器質的疾患(炎症や潰瘍など)が無い事を証明する必要がありますので、消化管の検査をまず行います。血液検査、レントゲン検査、超音波検査は当院で適宜施行いたします。内視鏡検査が必要と判断された場合、連携する他院で施行できるようご紹介いたします。

②器質的疾患が否定され、過敏性腸症候群と診断された場合、機能性ディスペプシアと同様、生活習慣の是正と薬物治療を並行して行なっていきます。

生活習慣における過敏性腸症候群の増悪要因は、原則として機能性ディスペプシアと似ています。

  • 喫煙、飲酒、睡眠不足
  • 高脂肪食、香辛料やカフェインの摂取過剰

薬物療法は下痢型と便秘型によって異なります。

  • 下痢型の場合、まずは便の硬さを調節するような薬や整腸剤をお勧めしています。腹痛が前面に出るような場合は、腸の動きを調節して痛みが出にくくなるような薬を併用します。ストレスや心理的要因が強いと思われる場合は、まず当院でごく軽い抗不安薬や抗うつ薬の投与を行いますが、必要と判断した場合は心理学的な専門医を紹介いたします。
  • 便秘型の場合、便秘症に準じて治療を行います。便秘症の項を参照ください。

診療時間
 8:30~12:00(受付  8:30~11:30)
15:30~18:30(受付 15:30~18:00)

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0745-54-0715

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